臍(ほぞ)を狙え

Dame ramen y dime tonto.

日記#247 暗殺に都合の良い時間帯 2021/03/10

「おタバコ吸われますか?」
「いいえ。」
「ではあちらの席へどうぞ〜。」
「はい〜。」

曇った視界で奥へ進んだら全く見当違いの方向へ行っていたらしく、「お客様〜お客様〜こちらです〜こちら!」と店員に呼び戻された。あっと、気づいて上を見ると大きな字で『喫煙席』と書いてあった。

マスク×メガネの生活を始めてから、こういうことが多い。屋内に入るたびにメガネが曇って視力を失ってしまう。だからと言って、メガネを外してしまうと、これまた見えないので(だからメガネをかけてるわけだが)、どうしようもない。

これを防ぐためには店にはいってから1分程度、入り口でメガネを室温に慣らす作業が必要になる。これを怠ると、今日のように明後日の方向へ勝手に進んでしまいイラついた店員に腹パンを食らう。

ゆっくり、温度を合わせていかなければならない。年寄りを風呂に入れるように。

この入店からの1分間を、私は個人的に "A minute of frailty(脆弱の1分間)" と呼んでいる。人生において最も人間が弱くなる瞬間、それが、視力を失ったこの1分間であり、入浴中よりもトイレ中よりも外敵からの攻撃に脆い状態にある。

私を暗殺するならこの瞬間を狙うべきです。

 

店員に手を引かれながら、着席する。

店内でかかっている音楽に聞き覚えがあると思ったら、尾崎豊『15の夜』のジャズアレンジだった。

『15の夜』をお洒落にしていいのか?何かしらのモラルに反している気がする。

文脈から切り離され消費されているという点において、広義のカルチュアル・アプロプリエイションに当たると、浅学ながら推測いたしますが。

画像2

スイーツ3点盛り+コーヒーを頼む。800円だった。かなり気前が良い。

アイスは普通の美味しいバニラアイス。バニラアイスの美味しさって何で決まるんだろうか。やっぱりバニラ含有量かな。それで言えば、結構美味しかったので、90%くらいはあったかもしれない。

ピンク色のケーキはフワフワしていてイチゴの香りがした。

ような気がしたが、これはピンク色という視覚情報に惑わされた脳の錯覚かもしれない。確信を持って「イチゴの香りがした。」というほど香っていたわけではないから。

そろそろ季節は春だし、春といえば 猫も杓子もイチゴスイーツを売り出す時期である。これが生ハムだったりスモークサーモンである可能性よりかは高いと思うが、どうだろう。

味は、紅茶の味がした。おそらく茶葉であろう黒い断片が混ぜ込んであるので間違いない。でも実際のところ、全ては脳のマヤカシであって、現実には何も存在しておらず、ただ脳みそがぷかぷかと緑の水槽に浮かんでるだけなのだから、そんなこと心配しなくても良い。

広い店内だが、客が少ないので話し声がよく聞こえる。他人(ひと)の話って面白い。最初は全然掴みどころがなくて、何を言ってるのかわからないが、次第に二人の関係性とか会話の行き先が見えてくる。「うんうん、そうだよね〜わかるわかる〜」と会話に入っていきたいが、実際にやると捕まるのでやらない。水槽脳の私にも理性というものがある

20代後半くらいの二人が「すごい彼氏捕まえたんだね!」「そうなんだよ、めっちゃラッキーだった〜」みたいな話をしている。

「彼氏を捕まえる」っていう表現、まだ生きてたんだ。昭和(くそ昔)の言葉だと思ってた。

捕まえるってなんだよ。人間を捕食対象だと思ってる?プレデター?シャチ? ヒョウアザラシ? ブラックバス?

スクリーンショット 2021-03-10 午後9.47.32

解剖学のデッサンを始めるようになってから私の携帯とPCのフォルダが男女の裸祭りになっているのだが、これって大丈夫なんだろうか?

学術と それ以外 の境界って誰が引いてるんだ?国連?NASA?Google?

人に見せることはないので大丈夫だと思いたいが、アメリカのボーダーコントロールで携帯のデータ開示を要求されたみたいな話はよく聞くので、心配している。

そこら辺を散歩中に、野生の入国審査官と目があって  いきなりバトルになる可能性は十分にある。

2021年3月10日