臍(ほぞ)を狙え

Dame ramen y dime tonto.

本の感想とか 2021/10/25

明日から死ぬほど忙しくなることが分かっているので、私の最後の言葉としてこの日記を残しておく。あなたがこの文章を読んでいるということは、私は仕事と勉強とボランティアの三鬼(ミツキ)に追われ、社会に喰われ、時間に蝕まれ、生きているとも死んでいるともつかない世界の灰塵と化しているであろう。金と同情をくれ。

この世界が私の世界であることを私が忘れたとき、私は宇宙の塵となる、そんな気がしている。みなさんはどうですか?

怒涛の履歴書作成&インタビューのおかげでやっと新しい住所と電話番号を覚えた。

ひとは何かを覚えるとき、なにかを忘れている。

昔住んでた住所とか電話番号が思い出せなくなったとき、寂しいよね。私はもうカナダの住所を覚えていません。ウー。悲しい。

 

最近読んだ本の一言感想でも書き残しておこう。

 

バイナリ畑でつかまえて (山田胡瓜)

数年前に流行っていたのが脳のどこかに引っかかっていてブックオフの通路をふらふらと歩いてる時に目に留まった。ネタが古いのはもちろんのこと(ドローン、ネットカフェ、LINE....(このあたりのトレンドは半年周期くらいで入れ替わるからしょうがないけど))そのネタの扱い方というか捻り方みたいなのもかなり時代を感じて良かった。5年前の私たちってたしかにこんな風に考えていたよなぁ、という。VRとかARが一番アツかった時代だ。「バイナリ畑でつかまえて」っていうネーミングは100点だな。いまさらだけど。タイトルですでに勝ち確。バズり確。そのタイトルの瞬発性みたいなのも儚さを強調しているようで趣深い。その時代の非常にリアルな価値観と解釈が作品になっていてとても価値のある本だと思った。(本に価値をつけるなんて何様のつもりだ?)

 

たとへば君 四十年の恋歌 (河野裕子・永田和弘)

見返しに河野裕子の代表作「たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに 私をさらつて行つてはくれぬか」が載っている。凄い歌だと見るたび思う。全日本破調短歌選手権シングルス部門があったら第1シードだろうな。反対の山では第2シードの「ねむいねむい廊下がねむい風がねむい ねむいねむいと肺がつぶやく」(永田和弘)が暴れている。

たとへば君...の短歌を読むとき、我々はもれなく河野裕子に恋をする。これは信じていいことなんだよ。何故って・・・そうでしょう?この歌を詠まれて恋に落ちない人なんていないだろう。いや、いたっていいんだけど。私には想像できない。だからこの本を読むのには多少の勇気を必要とする。さらつて行くのが私ではないと決定的に知ってしまうから。でも読んだ。途中で失恋もしたが最後まで読んだ。とても良い本だった。河野は死の前日まで短歌をつくっていたという。「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」(河野裕子)人の一生が何百もの短歌によって深く、感情に鋭く記録されている。良かった。あ~~、こういう時ひとはどうするんだ?私はどうすればいい。森山直太朗みたいに駐車場の数でも数えようか。

 

河童 (芥川龍之介)

おれぁバカだからわかんねーけど、芥川ってめちゃめちゃな天才なんじゃねーのか?文学とか哲学とかムズカシーことは知らんけど とにかく面白い話を書く。「河童」は生まれる前に胎児が生まれたいかどうかを選ぶシーンがよく知られているけど、(特に最近は反出生の文脈でよく語られている。(意識主体の河童がすでに"いる"という点で決定的に違うわけだが。))、ほかにもウホホと思わせるSFチックな箇所がいっぱいあって楽しい。qur-r-r-r-r..... いや~芥川すごい。これから日本で一番小説が上手な人に芥川の名前を冠した賞をあげるっていうのどう?もうあったらごめん。

 

あと今月始まった学校の話も書いといた方がいい気がするけど まあいいか。その話はおいおいのおいで。

2021年10月25日