臍(ほぞ)を狙え

Dame ramen y dime tonto.

日記#144 忘れた頃にやってくるふわとろパンケーキとお帰りなさいませの謎。 2020/11/27

近所に最近できたと思われるカフェに行ってきた。

コーヒーだけ飲みにきたので本当はブレンドコーヒー一杯だけでちゃちゃっと済ませたかったのだけど、扉の重さや店内の光度、店員さんのメニューの差し出し方的にコーヒーだけ頼んじゃダメなタイプの店だと判断した。

 ということで何も考えずに一番安いパンケーキ580円を頼んだ。そしていざ運ばれてきてみると、これがなんと「ふわふわトロトロパンケーキ」だったのだ。そんなものが存在することを完全に忘れていた私はめちゃめちゃびっくりして、思わず「あ、ふ..ふわふわですね...」と店員さんに言った。店員さんは、は?たりめーだろ。このあほんだら、なに抜けたこと言ってんだ?という目をしながら「はい。こちらふわとろパンケーキです。」と言った。

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今日もフリー素材です。ただし私が今日食べたものに限りなく近い。

ふわとろパンケーキっていう概念まだ生き残っていたんだな。ホントにびっくりして、でっけ〜パンケーキ2つを目の前にしばらく動揺していた。少し落ち着いてから(周りに人がいないことを確認し)少し器を持ち上げて揺らしたり、フォークでツンツンしてそのふわとろ具合を実感したりした。

 

あとこれは余談だが、入店した時店員に「お帰りなさいませ〜」と言われた。なるほど、ここはそういうマニュアルなのか..とその時はあまり気にしなかったが、よく考えれば、そんなわけない。でも私は確かに聞いたのだ。

考えれば考えるほど謎が深まる。このままでは眠れそうにないのでとりあえず二つの仮説を立ててみた。どちらの方がありうるか、コメント欄で教えてください。

 

①店員が元メイド喫茶勤務説
元メイド喫茶勤務の店員が昔の癖でつい口を滑らせて「お帰りなさいませ!」としっかり言い切ってしまった可能性。コンビニバイトを経験したあなたなら、客として入ったコンビニで店員の「いらっしゃいませ〜」に反応し「いらっしゃいませ〜」と返してしまう、そんな経験があるだろう。人は言葉を発するときに実際大して脳みそを動かしていないものだ。お昼のラッシュを戦い抜いてふっと気が緩んだ入店2週間の新人店員さん。入店してくるお客の影を見て脊髄反射で輪状甲状筋に染み付いた例のフレーズを発してしまう。「あっ」と思ったときには時すでに遅し。驚異的に場違いな「お帰りなさいませ〜」はすでに空気中に放たれ秒速340mで客の耳小骨へ到達していた。「終わった...私の店員人生終わりだ..」と思った店員さんだったが、幸運にも客の方も全く脳の活動を行っていないようで、表情一つ変えずに「あ、一人です。」などと言っている。「助かった。客がバカでよかった。」店員さんはホッと一息吐いて、何事もなかったかのように客をカウンター席へ誘導した。

 

②私の幻覚幻聴説
「私には...居場所がない...帰るべきところがない...」と孤独を拗らせた私は、札幌の冷たい灰雪に洗われ精神喪失。そこに突如として現れた柔らかな色合いの木造平家と窓から溢れる暖かな光。そうだ...ここだ...私の家は...ここが..私の家だ... 私は..帰ってきたんだ...いるべき場所に...。ハイライトの消えた眼球を2つ引っ提げて私は重いドアを開けて帰宅(入店)する。そこには私が雇った500人のメイドとボーイが一列に並んで私の帰宅を待っていた。
「お帰りなさいませ!」「お帰りなさいませ!」
私はその声を聞くと、ふうっと全身から力が抜けていくのを感じた。もう...頑張らなくていいんだ...もう...居場所を探して...泣かなくて...いいんだ...ゴールの見えない...旅を...しなくたって...いいんだ...だって...私には...この場所が...あるんだから... 私は静かに目を閉じて500人全員が「お帰りなさいませ!」を言い終わるのをこの上なく安らかな気持ちで待っていた。
「お帰りなさいませ!」「お帰りなさいませ!」「お帰りなさい...」「おかえり...」「おかえ...」「...」

 

2020年11月27日