臍(ほぞ)を狙え

Dame ramen y dime tonto.

日記#300 札幌の荒野 2021/05/02

よくきたな。お前は牛丼を知っているか?知っているだと?どうせそれは吉野や松だろう。しかもお前は外から見たことがあるだけで実際には行ったことがないチェーンの名を挙げ、知っている風を装おうとしたな。実のところ見たことも食ったこともねえってのは、お前のツラを見れば丸わかりだ。全くおれが何年この仕事をやってると思ってるんだ。

だが安心しろ。お前たちが牛丼について何も知らなくても問題はない。むしろ喜ぶべきだ。なぜか?

今日おれがウノからディエスまで教えるからだ。

はじめに

 

今日教えることは牛丼のレシピ、以上だ。しかし、こいつをレシピのその先・・・・・SAPPOROの荒野で生き抜く糧にできるかどうかはお前次第だ。この自炊レシピを知っていたのにも関わらず、市販の牛丼を求め荒野へいでて行方を絶った友人をおれは何人も知っている。ホセは吉野家の後払いシステムを失念し刑務所行き、アルフレードは松屋の券売機のUIがわからずに死んだ。残りは盤渓の熊にゆっっくり足から食われたと聞いている。

牛丼の作れない人間には死が待ち受ける。これは「ゾンビを倒したら結婚する」バカと「かすり傷だから...大丈夫」なアホが絶対に死ぬのと同じように、逃れられない運命だ。

そして今日、おれがその運命を変えてやろうってんだから聞いていって損はない。SAPPOROの荒野でヒグマのおやつになりたくなけりゃ牛丼を作れるようになればいい。簡単な話だ。

牛丼のレシピ

 

お前は今この瞬間、自らの意思で運命の扉を開けた。その勇敢なスピリットにまずは拍手とテキーラ、それにひとウェッジのライムを贈りたい。

ライムの酸味を舌に刻め。人生のマイルストーンとなる記憶だ。

それじゃあ、前置きはこれくらいにしてレシピを教えよう。

まず、何よりも先にお前がすべきことは肉を買いに行くことだ。(無論、すでに全員ママに母の日カーネーションを購入済みという仮定のもとにおれは話している。母の日を忘れるようなやつに運命の鍵を回す権利はない。)

別に専門店へ行けと言ってるわけじゃない。どこの荒野にもある、埃っぽいトタン張りのスーパーで用は足りる。

スーパーへ入り精肉コーナーへ足を進めたルーキーのお前は頭を抱えるだろう。荒野のボロいスーパーだって数十種類の牛肉を用意しているものだ。端から国産ロース、ヒレ、テール、ミンチ、切落とし、・・・・・・。

おい、お前!その国産肉を置け!誰が勝手に肉を選んでいいと言った?・・・・・・死にたいのか?

申し訳ないがその国産霜降り特3Aサーロイン420gにはここでファックオフしてもらう。「え、でも高い肉の方が美味しいんじゃ...」黙れ。うるさい。おれの言葉を信じろ。

少し言葉がすぎた。おれが国産なんとかサーロインを使わないのには実にれっきとしたら理由がある。札幌のレンタカー屋が冬季にベトナム人観光客に車を貸さないのと全く同じ程度の、真っ当なわけがある。

国産和牛がどうやって育てられるか知っているか。やつらは畜産農家の愛を一身に受けてその身を太らす。国産牛肉は愛情を知っている。そしてお前らもよくわかってる通り、愛というのは人を盲目にし、飼い猫を太らせ、牛の脂肪をまろやかにする。おれたちのようなR・E・A・Lを求める真の男は「まろやか」をその人生に必要としない。おれたちに必要なのは文字通りR・E・A・Lな肉の味。そう、お前が手に取るべきはアメリカ産ロース切落とし350gだ。

温室育ちの国産とは比べ物にならないバイタリティ。身を焼く太陽のその麓、テキサスの荒野でカーボーイ、レッドネック、不法移民と四つ巴の争いを繰り広げた牛どもの脂肪だ。これがR・E・A・Lでなくして何がR・E・A・Lか。アーミーナイフで斬りつけるような強烈な癖と匂い。それが牛肉の最高到達地点だ。

 

っと、こんな時間になってしまった。続きはまた明日としよう。

f:id:yakaatvancouver:20210503021754j:plain

2021年5月2日