日記#5 文明の最後の残り香
海軍が毎週金曜日にカレーを食べるように、我が家では自宅監禁中の曜日感覚維持のために、毎週金曜日は「チチャロン」を食べると決まっている。
外部との交流を断ち5ヶ月がたった今、昼飯とそれによってリマインドされる7曜日が、我々がかつて属した文明の最後の残り香である。
もしこの習慣をやめてしまえば、曜日などそのうち忘れられるだろう。第一に生活に必要でないし、よく考えればこの7曜制度はあまりユーザーフレンドリーではない。
ロンビンソン・クルーソーは無人島に上陸した後も7曜日制を維持したようだが、僕だったら7曜日制なんていうダサいシステムはすぐにやめてしまうと思う。
なぜなら7は数え辛いから(七の段の掛け算より難しいものってこの世に存在する?)
締め切りは5週間後です!とか言われても何日後なのか、「ひちいちがひち、ひちにじゅうし ひちさんにじゅうしち...あっれれ〜おっかしーぞ〜」となり、九九カードなしでは素人に計算はまず不可能と言っていい。
そしてもはや各月が30日(31日)である必要もない。
ということで各週を10日にして各月を50日にする。
もちろん最後に15日が余るが、その15日は”曜日”などという概念から解放される期間として国民の休日とし盛大な祭事を催す。
この15日間は「El Respiro de Semarisión 〜 週獄の執行猶予® 」と呼ばれ、国民は一年の労をねぎらい、束の間の解放(執行猶予なので本来の解放ではない)を親族や友人と楽しむ。
また週獄の執行猶予® 最後の夜には伝統行事である「Cuenta Atrás para Semarición 〜 週獄への秒読み®」が毎年行われる。
これは執行猶予期間の終わりを108回の巨大な鐘の打撃によって国民へ知らせると共に、これから始まる厳しい週獄期間への悲哀と国民の連帯を表す。
・・・・・なんの話だっけ?
ああ、お昼ご飯だった。
チチャロン。コロンビアの看板料理と言っていいと思う。
作り方はとっても簡単。でかい豚肉をめっちゃ茹でて、めっちゃ揚げる
本来は油を使うのだが、我が家では健康上の理由により、熱風で揚げる。ノンフライヤーってやつだ。これによって若干迫力というかパンチがない味になるが、それでも美味い。
付け合わせにココナッツライスと目玉焼き。あとはアボカド(でかいやつ)とプラタノ(甘いやつ)のフライ。実にコロンビアっぽいと思う。
カリにしては珍しく、今日は一日中小雨が降り冷たい風が吹いていた。
ずっとこんな天気でいいのになぁ。
2020年7月10日 寒い夜