臍(ほぞ)を狙え

Dame ramen y dime tonto.

日記#1 光陰大陸間弾道ミサイルの如し

早いものの例えとして「矢」とか言うクソダサローテク中二ワードしか思いつかなかった古代の人間には正直失笑を禁じ得ない。彗星とかの方が全然かっこいいし、チーターの方が可愛いじゃんか。と思っていたが、実はこれ「帰ってこない」という要素が大切なようだ。彗星は何年かしたら帰ってくるし、チーターも(懐いたチーターなら)ちゃんと帰ってくる。

最初「光陰ロケットの如し」というタイトルを思いついたが、そういえばロケット帰ってくることね?(画像参照)てなわけで太平洋に秒速6kmで落下し2度と帰ってこないテポドンで行くことにした。

 

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垂直着陸するスペースX社のロケット。流れる時間はこいつみたいには帰ってこない。


僕の光陰が矢(秒速30m)の如しだったのは15歳くらいまでだったと思う。そこから一気に風を受けて加速し、昨年働きだしてからはピストル弾(マッハ1)くらいには到達していた。そして例のあれである。強制自宅待機措置発令から110日が経った。週2回10分までの散歩は許されているので、大気や人類がまだ存在していることは知っているが、それ以外の情報は全くわからない。あ、あと110日分死に近づいたことは知っているので教えてくれなくて大丈夫です。

しかし110日である。100日あれば乳児に歯が生え、袁世凱の中華帝国が成立し滅亡し、可愛いワニが生まれ炎上できる。その100日間に僕は何をしたか?帝国も作らずイラストも描かず、歯もこれ以上生えてくる気配はない。

朝起きて(エライ!)顔を洗う(スゴイ!)。そして家の中で少し運動する。これは初期にはできていなかったから数少ない進歩と言っていい。汗をかいて(どれだけの時間・強度で運動したかは一切重要ではなく、運動した感を感じられているかどうかが大切だ)シャワーを浴びたら頭がドーパミンでハイになった状態のまますこーしスペイン語の勉強をして終了。残りの20時間は好きなように過ごす、が特に何をしたという記憶はない。

何かを我慢強く続けたりできないし、面白いことを始めたりもできない。とにかく根気と意思がないな、とつくづく思う。今まで自分の強みとか取り柄だと思っていたものが、強く周りに依存していることが身に染みてわかる。これまでの人生なんだかんだうまく行くことが多かったので自分は努力のできる人間なんだ、と考えている節があった。でも今回自室で息をしているだけの状態になってよくわかったのは、努力でもなんでもなくただ環境があっただけということ。これに22歳で気付けたのは大切なことな気がする。大体こんなことはみんな中学2年生あたりで気付くらしいけど、その時僕は飛び去る矢を追いかけるのに忙しかったので考える暇がなかったんだ。まあ別に気づいたからって何かが変わるわけでもなんでもないけど。

そういえば22歳になった。例のやつが流行るちょっと前だったが、そういえば来週誕生日だ、なんてこっちのお父さんお母さんに口を滑らしてしまったから、「あら、大変!ケーキ買わなきゃ!」「お友達も呼ばなきゃ!!」となり、僕の意思に反して大事になってしまった。が、まあ何やかんやで嬉しかった。この次の日くらいにキョロナ令発令されたので、これが僕の最後の生きた記憶だ。お祝いに頂いた素敵な時計は机の上に飾ってあって、それを見るたびにあの誕生日会をまるで前世の記憶のように遠くに思い出す。

是非腕につけて道を闊歩闊歩したいところだが、素敵過ぎて手首ごと切り落とされるんじゃないかと、怖くてつけられていない。

コカ茶

その名の通りコカの葉っぱのお茶。

高山病に効くらしいが、僕は海抜1000mの圧倒的低地に滞在しているのでその効果を感じることはできない。普通のおいしいお茶。例の(?)粉コカにするには、この葉っぱを茹でたり干したり煮詰めたりベンジンやらなんやらで「クック」するわけだ。

僕が110日で学んだことといえばこれくらいだ。

 

2020年7月7日朝3時